珈琲オンボロ倉庫

コーヒー 音楽 ときどき 思考

indigo la End 「蒼糸」(あおいと)歌詞を解釈

戌吉です。

 

indigo la end 4thアルバム「PULSATE」の収録曲「蒼糸」が先行配信中です。

indigoのツイッターによると、読み方は「あおいと」だそうです。 

 

サビがまた印象的な曲です。

聴きはじめは、また暗そうな曲だな~と思いましたが、

聴き終わるとどこか温かさを覚えるような気持ちになりました。

 

歌詞にも注目したい楽曲となっていると思います。

そんな「蒼糸」について歌詞を独自勝手に解釈していこうと思います。

 

 

歌詞

羨むことばっか増えた

冷たい日常に

気持ちが落ち着かないよ

理論ばっか備えた

虫が鳴いてる

 

井の頭線に揺られて

偉くなった気がしなくもない夕暮れ時

 

恋したんだったよな

想いあったんだよな

あなた

 

膨らんだストーリー

起承転結

3文字目半の糸

 

もらってばっか太った恋に

擦れて減ったさよなら

その気ない弱いセリフ落っこちた

 

守ってあげる救ってあげる

思ってたってどうしても

この恋には軽すぎたみたい

 

込み上げてばっか困るな

一時停止ボタン

押して音楽を止めた

 

途端忘れられたような

優しくされたような気配が

長い糸を伝って私を迷わせるよ

 

もらってばっか太ってた恋に

擦れて減ったさよなら

その気ないセリフ落っこちた

 

守ってあげる救ってあげる

思ってたってどうしても

この恋には軽すぎたみたい

 

祈った今日と

笑った明日を

連れていった明後日

紡ぎ出す恋心首ったけ

 

好きっていって抱きしめてよ

本当はそんなことばっか考えてるよ

 

 蒼き航海は期待が飲んで

 後味だけが知る

デザートはとびっきり甘い方が良い

 

想いをスクラップしては

ちょっと恥ずかしくなるだけ

その工場はいつか閉鎖するつもり

 

大なり小なり誰もが間違う

経験とともに恋が下手になる

一番下手になったときこそ

本当に誰か好きになる

 

幸せか普通かわからない

普通か不幸かもわからない

でも両方あなたがいるなら

糸は吉に絡まるから

 

もらってばっか太った恋に

少しずつの好きだよ

打ち明けすぎないセリフあなたに

 

守ってあげる救ってあげる

思ってたってそれだけは

この恋にはまだいいみたい

 

蒼い蒼い私に新しい色を付けてくれた

あなたが好きよ

思ってもないさよならばっかごめんね

この恋には軽すぎたみたい

 

 ※参考元:

蒼糸 - indigo la End - 歌詞 : 歌ネット

 

 

 歌詞を解釈

「蒼糸」の意味

 まずタイトルの「蒼糸」という固有名詞について、辞書に載っているような言葉ではありません。

「赤い糸」というのは「運命の」という形容詞を手前につけて扱われることが多いですが、それが「蒼」なんですね。

 

歌詞の中からその意味を取り出してみようとすると、まず「糸」という単語が出てくるのは

 

「膨らんだストーリー 起承転結 3文字目半の

 

「途端忘れられたような 優しくされたような気配が 長いを伝って私を迷わせるよ」

 

「幸せか普通かわからない 普通か不幸かもわからない でも両方あなたがいるなら は吉に絡まるから」

 

 の3か所。

 

 

「起承転結」の3文字目半ということは、「転」の真っ只中だととれます。

「守ってあげる救ってあげる」という言葉がまだ軽すぎる状況で、「さよなら」を思ってもないのに言ってしまうような状況。

 

そして

「羨むことばっか増えた冷たい日常」

「理論ばっか備えた虫が鳴いてる」

 

自分の恋よりも他人の恋が羨ましい、ということでしょうか。

 

 

この思ってもいない「さよなら」が「一時停止ボタン」なのかなと思います。

一度言ってしまった「さよなら」ですが、その後に「別れてよかった!」とならない。

 

「忘れられたような 優しくされたような気配」

 

これは思う側の勝手な想像で、要するにまだ未練が残っている心があると。

その未練が「長い糸」を伝ってやってくると解釈できそうです。

 

 

ここまで解釈してくると、「蒼糸」というのは、「転」という物語の転機の局面で、この後の「結」の物語の行方を左右する糸と想像することができます。

 

この糸が切れるか、つながったままか。

に絡まるか、吉に絡まるか。

 

ということなんじゃないでしょうか。

 

そして吉の方に絡まる条件を、

幸せだと思う時も、普通だと思う時も、不幸だと思う時も、「両方あなたがいる」

 

としているように思います。

 

どんな状況でも、結局、「一緒にいられている」ことが「結」で吉に結ばれる条件だと。

 

 

この歌はどの状況か

 この歌がひとつの恋のストーリーの「起承転結」のどこで歌っているかということについて考えます。

 

歌いだしに「気持ちが落ち着かない」とあることから、「結」ではないでしょう。

思ってもいない「さよなら」を言ってしまって、離れ離れになっている状況でしょうか。

 

もらってばっかで恋が太ったまでが、「起・承」なのかなと思います。

そして主人公(?)は、この「起・承」における恋が経験とともに下手になって、一番下手になった今回こそ「本当に誰か好きになった」実感があるんじゃないでしょうか。

 

「好きって言って抱きしめてよ」

そんなことばっか考えて、もらってばっかの恋だった。

 

そこから、「転」以降から、太った恋に「少しずつの好きだよ」を返していく。

「守ってあげる救ってあげる」はまだ軽すぎるから。

 

 

「守ってあげる救ってあげる」というのはふつう、「重い言葉」と受け取られそうですが、ここであえて「軽すぎる」というのは印象的です。

 

そこまで二人の恋が育っていない、という意味で「軽すぎる」んでしょう。

形式だけが先行している恋が多い現代を、風刺しているようにも取れます。

 

言えない男の言い訳と取ってもおかしくはないですが、「どうしても言う気になれない、言えない、言うタイミングではない」という心情はなんとなくわかる気がします。

 

 

川谷さんらしいといえばらしいような気もしますが、確かに正論だとも思います。

 

 

感想

indigoの曲にはめずらしく、「結」に希望を感じる曲だと思いました。

 サビの「守ってあげる救ってあげる」は耳に残りますね。

 

ひとつの疑問は、最後のフレーズ

 

蒼い蒼い私に新しい色を付けてくれた

 

「蒼」が、別の色に変わったということです。

 

これは聴き手の想像に、ということなのでしょうが、

indigoの曲で「蒼」別の色に変わる内容の歌詞が出てくるとは思いませんでした。

 

個人的には「蒼糸」が「赤い糸」に変わるハッピーな「結」を想像しましたが、聴き手によってはハッピーではない色、ということにもなるのでしょうか。

 

indigo歌詞には底がありませんね。

聴いてない人はぜひ一度聴いてみてください。