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BUMP OF CHICKEN 「66号線」遅かりし名曲発見【歌詞解釈・感想】

昔にいいなと何となく思っていた歌は、歌詞の意味を特に考えず、飛び飛びの単語が連想させるイメージとメロディのために、良いと思っていました。

 

どうも、戌吉です。

 

そんな歌のひとつが、BUMP OF CHICKENの「66号線」という歌です。

 

高校生くらいの時にカラオケでも歌ったこともあり、いい歌だと思っていたのですが、歌詞は何言ってるのか意味分からない状態でした。

 

あれから10年弱と、少し年齢を重ねた現在、歌詞の意味が、自分の体験との共感というか、心に染みるようになってきました。

 

今回は、そんな「66号線」について歌詞の意味を、戌吉独自に解釈していきたいと思います。

 

 

歌詞

聞かなきゃいけない話が

全く頭に入らないのは

愛されたくて 必死だから

申し訳ないことだけど

どうすることもできません

あなたが聞けという横で僕は

これを書いてる

 

66号線の途中

蓋を開けちゃってごめんね あぁ

だけどお陰でやっと見つけた

僕の知らない記憶に襲われて

泣いちゃった大切な人

近くにいられて嬉しかった

 

肩に溢してくれた 涙で出来た

音符をつないで盾を作ろう

 

声をなくしたら僕じゃなくなる 

それでも好きだと 言ってくれますか?

ただ一言だけ誉めてください

それだけですべてを信じる

 

こいつにはなんにも敵わないなんて

笑いながらさ 実は結構

傷つくんだぜ

勝負なんかしたくない

本当に嫌われるの怖い

あなたが笑うのなら何だって歌う

 

いつか教えてくれた 言葉でできた

音符を繋いで剣にしたよ

 

僕をなくしても あなたでいられる

それでも離れずいてくれますか?

 ただその掌で 撫でてください

それだけで心を守れる

 

ワクワクだとかドキドキだとか

あなたとしか分けられないように

出会う前から育った 会いたかった Oh

 

僕にだってきっと あなたを救える

今でも好きだと言ってくれますか?

あなたをなくしても 僕は生きてく

それでも信じて いてくれますか?

 

ただこのことだけ 疑わないでね

それだけで声が出せたんだ

立てたんだ 歌えたんだ

 

聞かなきゃいけない話が

全く頭に入らないのは

役立ちたくて 必死だから

 

僕が見つけるまで

生きていてくれてありがとう

あなたが選んだ世界に

こんな 歌が出来たよ

 

 ※一部参照元URL

http://j-lyric.net/artist/a000673/l023979.html

 

 

歌詞の感想・解釈

解釈に入っていく前に、この「66号線」の解釈をネットで見ていると、藤原さんの親友であるプロデューサーに送った曲という情報が見られます。確かに、そう思って聞くと歌詞がしっくりと来る気もします。

 

しかしそれはあくまで情報。「伝わったのは言葉だけ」(宇宙飛行士への手紙)ですし、「始まりを考えても意味がない」(モーターサイクル)ので(多少ねじ曲げていますが・・・悪しからず)、現在の僕が今できるだけありのままの「66号線」聞いた解釈を示していきたいと思います。

 

  前半

 「聞かなきゃいけない話が全く頭にはいらない」。たまにいますよね、そういう人。たまにいるんですが、そういう人すべてが「愛されたくて必死」であるとは限りません。

 

僕が就活をしていた時、(こいつどこ向いて話聞いてんだ・・・)という企業のリクルーターがいたことをはっきりと記憶しています。こんなやつは少なくとも、目の前にいる相手に「愛されたい」とは感じていないはずです。頭の中にいる誰かに愛されたくて必死な可能性は大いにありますが。

 

じゃあ同じ空間にいて「愛されたくて話が頭に入らない」のはどういう状態か?

 

そこにある会話以外のことで愛されようとしている。藤原さんがプロデューサーさんに向けて書いた曲なのであれば、歌で認められようとしているのでしょうか。

 

 

 「やっと見つけた」。キーワードであるように感じます。『メーデー』の歌詞を思い起こされます。何を見つけたかというとおそらく「本当の自分」とか「深く沈めた自分」とかなんじゃないかと思います。

 

「66号線」というタイトルにもなっている単語については、プロデューサーさんのラッキーナンバーという情報が多いですが、まあ「なぜ66?」と他に連想がつかないところからもその情報は妥当だと思えます。

 

 「蓋を開けちゃって」は、表面的な人間関係よりも深いところに入り込んでしまって、と考えますね。

 

「僕の知らない記憶に・・・いられて嬉しかった」のところは『宇宙飛行士への手紙』の歌詞が自然と連想されてきます。

 

 

そしてサビに入る前に印象的な言葉、「盾」がでてきます。これは2番の同じところに出てくる「剣(つるぎ)」と繋がっています(と思います)。

 

 バンプは、こういう子供チックな言葉をよく使う気がします。「盾」については、「あなた」を守るための意思表示じゃないかと思いますが、後の2番で出てくる「剣」については、藤原さんの「歌詞」だと思います。「いつか教えてくれた 言葉でできた ~」からは、このプロデューサーの方は、たまに詩になるようないいことを言っていたんじゃないかということが想像されます。

 

「声をなくしたら僕じゃなくなる」。ここらは、高校生くらいのときは本当に意味がわかりませんでした。

今現在になって僕ができる解釈は2通り。

「言葉」という情報が一個人を大きく形成している、または藤原さんは歌(声)が強いアイデンティティであるため、それを除いたらただの人間であると感じているということです。

 

どっちでも取れてしまうから、ずるいなあと思います。広くこの世に、この歌を送り出しているという事実から考えると、前者であると思いますし、藤原さんが個人的にプロデューサーさんに贈ったとすれば後者だと考えられます。

 

「それでも好きでいてくれますか?」には、「本当は無理なんじゃないか」という不安が裏に隠れているように思います。当たり前っちゃあ当たり前なんですが、曲を聴いていると、あくまでこの歌詞を美談にするつもりがないように聴いてしまいます。

 

 

 中盤

2番では、「才能人」としての悩みを打ち明けた内容になっていると思いました。才能がない人間が聴いてると、どうしても「才能人」の余裕を感じてしまうんですが、他人の心はわかりません。

 

まあしかし、「才能人」にも「才悩人」にも、悩みはあるのがこの世の中だと思います。藤原さんも、本当に「傷つくんだぜ」なのかもしれません。

 

 

サビ前からの「剣にしたよ 僕をなくしても あなたでいられる」一番好きです(余談)

ここも、高校生のときには全然分からなかった部分です。なかなか表現が難しいですが、今の僕では、声というアイデンティティ(情報)をなくしても、あなたはなにも変わらない。それでも変わらずに好きでいてくれますか?と取ります。

 

 

1番サビの「一言だけ誉めてください」と、ここ2番サビの「掌で撫でてください」。似ているようで見過ごしがちですが、よくよく考えると異なるように思います。

 

誉めるのは言葉、で、撫でるのは行動なんですよね。

言い換えれば、脳と本能でしょうか。

 

誉めてくれたらあなたのすべてを信じ、撫でてくれたら僕の心は守られると。父なる愛と母なる愛などと解釈したくなるような歌詞ですね。

 

 

後半

Cメロ。イマイチ分かりません。

同じ時を過ごして分かち合うことができるワクワクやドキドキ。今こうして一緒にいられる時間が、出会う前から育った「縁」の結果だとでもいいましょうか。

少々解釈に苦しみます。まぁ、歌なんてそんなもんでしょう。

 

 

「あなたをなくしても 僕は生きてく」。2番のサビと対(つい)になっています。今度は逆バージョンですが、単純にあなたの「声」というアイデンティティをなくしても、ということではないと思います.。

こちらは、あなたがいなくなっても、ということじゃないでしょうか。

 

 

そして、「それでも信じていてくれますか」からの「ただこのことだけ疑わないでね」。

このこと」は何かを指しているはずです。

そしてそれを信じて疑わないでほしい、と。 

 

 

聞かなきゃいけない話が、全く頭に入らない理由だと、僕は思います。「愛されたくて必死」「役立ちたくて必死」だということです。

 

 

最後は、一期一会であることとか、「縁」を感謝して結ぶ。

「愛しているよ」とでも聞こえるような気がします。

 

 

まとめ

いやあ、いい歌ですね。年を経て改めて聞くと違って聞こえる、とはまさにこのことだと思います。

 

「盾」とか「剣」とか、そういう表現が妙に感動させられるんですよね。藤原さんの言葉の使い方に感服です。

「それでも信じてくれますか?」じゃなくて、「それでも信じていてくれますか?」なんですよね。これまた重みがあります。

 

歌詞もすばらしいんですが、歌い方にも味があります。「あなたーでーいーられる」と流れるように歌うところなんか、すごくいいですよね。

「疑わーなーいでね」で音調を変えてくるところにも心揺さぶられます。

 

今は特にこの曲も入ったアルバム「COSMONAUT」の歌に感動することが多いですが、藤原さんがこの歌を制作したときと似た人生局面とでもいうのでしょうか?共感ができるようになったというのは、この年になって大きな変化です。

 

結局、藤原さんがプロデューサーさんに贈ったということは抜きに、みたいなことを言いながら、結構その先入観を捨てきれずに解釈を書いてしまいました。えらそうなことを言って、すいませんでした。

 

 

最近のBUMPの曲は、少し違った印象を受けますよね。歌を作っている人にも、人生局面がありますもんね。またほかの曲も聴いてみたいと思います。