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こどもがユーチューバーになりたいと言っても仕方ないと思う

こんばんは、戌吉です。

 

こどもがいらっしゃる方の多くは、自分の子が「将来の夢はユーチューバー」と言い出したら、いい気持ちはしないだろうと思います。

 

そりゃあ収入だって安定していないし、「お笑い芸人になる!」というのと同じ話だと思います。

 

しかし、こどもが憧れをもつ理由は、果たして経済面でしょうか?

なりたいと必然的に思ってしまう理由が、今の時代にはあるのではないかと思います。

 

 

※約2000字

 

 見せる環境

まあ、そもそも娯楽としてスマホを見せなければそんなことにもならないんでしょうが、外に出て遊ぶものもない。子供が自由に遊べる場所も随分と限られてきていますし、なによりこどもを危険に晒したくないという心理が現代の人には特に強いんじゃないかと思います。

 

それは「潔癖」とか「安定志向」などが裏に隠れているように感じますが、泥まみれになるのはどんな細菌がいるか不潔だし、マダニやらヒアリやら危険な生物がメディアで過剰にとりだたされるから、下手に自然の中に遊ばせるわけにもいかない。ほんとうは、そんな生物が「実際にいない場所」だったとしても「いるかもしれない」は、行動を制御させてしまいます。

 

 

家にいたってすることがない、テレビだってつまらない。そうなってくると子供のつまらないなんて見たくないのが親心でしょうから、金もかからないし子供が見ても面白いYoutubeを見せる。まあ、仕方ないっちゃあ仕方ない心理だとも思います。

 

 

こういう経緯も踏まえて、仮にYoutubeを見せる行為が必然だとして、なんでユーチューバーになりたいと思うのでしょうか。

 

こどもが将来の夢を決める理由は単純だと思います。

「かっこいい」「おもしろい」「かわいい」

そういう衝動的な刺激も一つの理由だと思います。

 

 

しかし、もっと根本的に重要なのは

 

いい顔をしていること

 

だと思います。

 

それには「楽しい」「うれしい」「充実感を感じる」など、夢を(不意にも)与えている職業者当人の感情が「良いもの」である必要がある。

 

大人の感情は、見るこどもにも絶対に伝わると思います。どんな子供が、鬱々とした気分で会社に勤めていく大人の職業につきたいと思うでしょうか?

楽しそうに子供が見て楽しいことをしていて、お金も稼いでいるユーチューバーを子供が憧れるのは必然的な話だと思います。

 

 

トップが堕ちてゆく時代

ニュースなんか見ていると、だれが総理大臣になりたい、政治家になりたい、警察官になりたい、大学の教員になりたいと思うでしょうか?

 

次々に明らかにされていく不祥事、ストレスに耐え切れずわいせつ行為に走ってしまう警察官、メディアに吊るしあげられて一般人に好き放題言葉で叩かれる、いわゆる「偉い」人々。

 

ひと昔前までは、こういう職業の人には、あがめるような態度があったんじゃないかと思います。今でも全く消えたわけではないでしょうが、私たちの潜在意識にはすでにマイナスイメージが深く刻まれてきているように思います。

 

そんな状況で鬱々としている「偉い」人々の顔が、メディアで何度も流されるのです。こんなものを見せられる子供が、総理大臣になりたいとか、警察官になりたいとか思わなくなるのは当然の話ではないでしょうか。

 

どうせ出世したって、何かあったら、全国民に見られる中、謝罪をしなければならない。若い社会人だって、ユーチューバーになりたいと思う子供と、何ら心理は変わらないと思います。

 

要するに、そういう方向に希望が見い出せない状況だということです。まあ、よほど革命的な意思をもった子供がいたとしたら、政治家になりたいとも言い出すかもしれませんが。

 

 将来は明るいほうがいいに決まっています。そんな単純なことを考えるだけでも、子供がユーチューバーになりたいと思うのは必然ではないでしょうか。

 

 

 最後に

トップが堕ちてゆく時代ではありますが、決してそれらの職業を軽んずるわけではありません。国という集団の一員であるために守られているものもあります。ただ、現代ではその恩恵が小さい、または感じにくいというのは事実だとも思います。

 

 対外的には「安定」な状況なのかもしれません。決して安定だなんて思いませんが、目に見えるような実害を被っていない。外に敵がいないと判断したら、内乱が起こるそんな状況なのかもしれません。

 

そんな(言ってしまえばお堅い)職業の人たちが干されていく中、充実した表情のユーチューバー。希望の見えないものが「夢」にはなりませんから、子供たちがユーチューバーを目指したいと思うのは無理のない話です。

 

それでもどうしても「ユーチューバーになりたいなんて言わせたくない!」という人は、見せない環境をつくるしかありません。

 

「好きなことを職業に」の時代ですが、それを実現できている人々が、今では一番幸福感を感じているのかもしれません。

 

 

 

※あくまで筆者の個人的な意見です