「小欲知足」不満足と満足
こんばんは、戌吉です。
何かの本で見た言葉です。なんの本だったかは忘れましたが、今でもたまに思い出せるくらいは印象に残った言葉です。
私淑する五木寛之さんの思想から影響を受けた考え方なんですが、覚えようとしていても忘れてしまうようなことは、今の自分にとって本当に大事なことではない、と。
逆に覚えようと思っていなくても思い出してしまうことは、今本当に大事なことだと8割方思っています。
自然と頭に浮かんできます。
「小欲知足」
大学受験の時に必死に覚えようとしたけど、目から頭をすり抜けてどこかに行ってしまった英単語のときとは違う現象です。
今回はそんな言葉について。
もくじ(約2000字)
『現状に満足せずに』という決まり文句
そんな言葉とは裏腹に、現代は満足してはいけない時代なのかもしれません。貪欲にとか聞き飽きるほどどこかで聞いた気がします。そして、次の言葉もよく聞きます。
「現状に満足せずに」
よくスポーツ選手が言う言葉です。スポーツ選手のあるべき姿として、常に上を目指す姿勢が美徳とされているために使われる言葉でしょう。
まあこれを最初に発言した人は心の底からそう思っていたんでしょうが、今はあまりにも多くの選手が多用しているためにあまり心に響きません。
そんな背景も勝手に想像してしまうと、少し息苦しさも感じます。まあ、勝手に僕が感じているだけですし、「満足している」なんて言ってしまったら、どこから批判が飛んでくるかもわからないので「満足せず」と言わざるを得ないのも分かっているんですが、それでもあまり僕はこの言葉を好きにはなれません。
「欲」が技術を発展させるのは、紛れもない事実だと思います。おおむね「知的欲求」とか「承認欲求」とかでしょうが、これらが現代の生活を豊かにする原動力だったことは間違いないでしょう。
そしてそれらは「金」になるので、やたら「貪欲であれ」とか「常に満足するな」といわれるんでしょう。
まあ、人によってはその思想が人生を豊かにするプラスにはたらくことはあるでしょう。このことは、否定しません。
しかしそれが全ての人にとって「正」であるとは、僕は思いません。
満足したほうがいい人種
「欲」によってうまれる苦しみが、ほどよくいいもので人生のスパイスになる人種もいると思います。
しかし一方で、「欲」による苦しみに苛まれる人種もいるのも事実だと思います。
ひとつ例を挙げると、「承認欲求」。これがプラスに働く人の場合は、反骨精神というか「見返してやろう」という風な方向性にもっていけて、人生にいい影響を与えうると思います。
逆にこれがマイナスの効果をもたらしてしまうのは、「認められること」に固執してしまうことです。それが一種の恐怖心になってしまうんじゃないかと。
プラスに持っていける人は、(たとえ何かを乗り越えた先で手に入れたものだとしても)ラッキーだと思います。
逆に持って行けない人は、「満足」を知るべきなんじゃないかと思うのです。
だれかに認められていなくても、今あるもの。
これを見つめて、ああ、ありがたいと思えたら、その瞬間はふっと心が和らぐような気がします。
「小欲知足」
言葉そのままに訳してみたら、
「欲の小さきをもって足るを知る」
という風な感じでしょうか。あくまでふう。
国語には弱いので細かいことは分かりません。
詳しくはわかりませんが、仏教用語だそうです。そういえばこれを読んだ本も仏教に関する本だったような。
・・
将来不安なく暮らせるお金がないとする。
もっとお金が欲しいと思う。
それがその時点で「苦」だという。
たしかに、悩み苦しんでいる。
そこで「小欲知足」という言葉を思い出す。
食に困らずに、生きていられるだけで、実はありがたいんじゃないか.。
「今」を将来のことにとらわれるのもなんか馬鹿々々しいな。
そう思った瞬間は、ふっと心が緩むような気がする。
今あるものを見つめるとは、こういうことでしょうか。
欲の時代の処方箋
「欲」がはびこり、また「欲」を持つことが美徳とされるような風潮があるこの現代で、「小欲知足」なんて考えるのは、反流行的考え方です。
しかし、そういうものが一種の解毒剤のようなものになりうるとも思います。理論的な根拠は全くもってありませんが、「欲」が「毒」と考えるのは、あまり無理のない話だとは思います。
とはいえ「小欲知足」も、結局は「ただの言葉」でもあります。記号という本質を内包している。
これが万能薬のようにはたらくわけでもなし。苦しい時は、やはり苦しいんだと思います。
しかし、ないよりは、いい。と、思います。ふとその言葉で振り返った瞬間に、少しでも心が楽になる瞬間がある。そういうのって、意外と大事であったり、したりしなかったり。。。
満足ばかりで生きていける世の中でもありませんが、まあ、満足も意外と悪いもんじゃあないかもね、というお話でした。
疲れた夜に、発泡酒を飲みながら・・・
これだけでもすごく贅沢な話かもしれません。
これ以上なにを求めることがありましょうか。
とか思ったり、思わなかったり。